「選手の未来を守るために」福岡県協会メディカル委員長が語る “脳振盪への正しい理解”
2026年3月24日
ラグビーはコンタクトスポーツであり、プレーの中で脳振盪が起こる可能性があります。
福岡県ラグビー協会では、選手の安全を守るため、脳振盪に関する正しい知識や対応方法をまとめた特設ページを公開しました。
今回、この取り組みを中心となって進めたメディカル委員長に、ページを制作した背景や、脳振盪への正しい理解、そしてラグビーに関わるすべての方へのメッセージを伺いました。

メディカル委員長 櫻井 立太
― 今回、脳振盪の特設ページを作成された背景を教えてください。
近年、ラグビーにおいて脳振盪に対する関心は高まっています。
テストマッチやJapan Rugby League OneではHIA(Head Injury Assessment)が定着してきており、スマートマウスガードの運用も始まっています。
しかしながら、エリートレベル以外の試合で運用されているR&R(Recognize & Remove)に関してはまだ十分に普及しているとはいえない状況です。
今回、多くの方の要望により福岡県ラグビー協会の常任委員会で脳振盪に関する講義をする機会をいただきました。
その中で、脳振盪の特設ページを作ってみてはどうかという提案があり、作成に至りました。
― ラグビーにおいて脳振盪はどのようなリスクがあり、なぜ正しい理解が重要なのでしょうか。
主に注意すべきはセカンドインパクト症候群と慢性外傷性脳症です。
セカンドインパクト症候群は脳振盪回復前に2回目の頭部外傷を受けることで致命的な脳損傷を引き起こします。
しかも、その多くが18歳以下の若年層ですのでユース以下の世代ではより適切に診断をして、慎重に復帰をすることが必要です。
適切に復帰しないと命には関わらずとも、症状が持続して、日常生活や学業・仕事に支障が出てしまうような脳振盪後症候群をきたす場合もあります。
また、頭部外傷を繰り返すことで数年後に慢性外傷性脳症を発症することもあります。
海外では受傷後に適切な対応を受けられなかったとして訴訟になっているケースもあります。
― 脳振盪が疑われた場合の対応や、復帰までの流れについて教えてください。
脳振盪が疑われた場合はその日の練習・試合に復帰することはできません。
脳出血や頭蓋骨骨折の可能性も否定できないので頭部CT(またはMRI)検査を受けることが大切です。
脳振盪と診断されたら速やかに所属するラグビー協会に報告書を提出してください。
その後、カテゴリー別に定められたGRTP(Graduated Return To Play:段階的競技復帰)プログラムに沿って復帰します。
フルコンタクトの練習に復帰する前に医師の診察を受けて、復帰証明書を忘れずにラグビー協会に提出してください。
― 今回公開された脳振盪のページでは、どのような内容を紹介していますか。
脳振盪とは何かという基本的なことから、その注意点、復帰の手順、チームとしてどのような体制を整えておくかといったことを紹介しています。
協会に提出が必要な申請書の書式もページから入手できるようになっています。
― 最後に、選手・指導者・保護者の皆さんへメッセージをお願いします。
私自身も5歳から大学卒業までプレーしましたので、選手・指導者・保護者の方々が目標としている試合・大会に向けてどのような思いで臨んでいるかということはわかっているつもりです。
しかし、試合に勝つことや目標を達成することよりも優先すべきなのは選手の安全と健康です。
多くの方々に脳振盪を正しく理解していただくためにこのページを活用していただけると幸いです。

福岡県ラグビー協会では、選手の安全を守るため、脳振盪に関する正しい知識の普及に取り組んでいます。
ぜひページをご覧いただき、日々の指導やチーム運営にお役立てください。





