回復と復帰
復帰には医師による評価が必要
急性硬膜下血腫などの命に関わる病気がないかを確認するため、コンタクト開始前に医師の診察が必要です。
医師が安全な状態であると判断した場合において、コンタクトが許可されます。

段階的競技復帰(GRTP)プログラム
GRTP(Graduated Return To Play program)は、ラグビーにおける脳振盪マネジメントの一つです。
脳振盪受傷後、競技復帰に向けてリハビリ強度を段階的に上げていく方法で、6つのステージがあります。。
脳振盪を繰り返した選手や、復帰に心配がある選手は、より長い期間での復帰を計画してください。
参考:公益財団法人スポーツ安全協会公式サイト
| ステージ | リハビリ項目 | 可能な運動 | 目標 |
|---|---|---|---|
| 1 | 最初の休息(体と脳) 症状が悪化しない程度の日常活動 |
運転や運動をしない。画面を見る時間を最小限に抑える。 仕事や勉強を休むことを検討する。 |
リカバリー |
| 2a 症状が24時間継続する |
症状が出ない程度の活動 | 症状が出ない程度の日常活動。 仕事や勉強を休むことを検討する。 |
普段の活動に戻る (症状が出ないよう) |
| 2b 症状が24時間ない |
軽い有酸素運動 | 10-15分間の軽いジョギング、水泳、または低~中度のエアロバイク。 筋力トレーニングはしない。 24時間ずっと症状がないこと。 |
心拍数を上げる |
| 3 | 競技に特化した運動 | ランニングドリル。 頭部に衝撃を与える活動はしない。 |
動きを加える |
| 4 | コンタクトなしのトレーニングドリル | さらに複雑なトレーニングドリスに進む。 例:パスドリル。 漸増負荷による筋力トレーニングを始めてもよい。 |
運動、協調、認知的負荷学習に戻れることが、スポーツ復帰の前に必要である |
| 5 | フルコンタクトの練習 | 医師の許可を得たのち、通常のトレーニング活動に参加する | 自信回復とコーチング スタッフによる技術習得 |
| 6 | 競技復帰 | 試合に出場 |
中学生以下
中学生以下は、最短でも約3週間かけて、慎重に段階的復帰を行います。
受傷~24時間(ステージ1)
- 症状が悪化しない範囲で、軽い日常生活のみ
- 激しい運動は禁止
その後 ~ 16日目まで(ステージ2)
- 軽い運動までにとどめる
- ステージ2Aと2Bは同日に実施可能
- 無理に次へ進まないことが重要

16日目以降(ステージ3・4・5)
- 症状がなければ、2日ごとに1段階ずつ進む
- ステージ5まで段階的に実施
23日目(ステージ6)
- 問題がなければ試合復帰可能
⚠ 大切なルール
次のステージで症状が出た場合は、ひとつ前のステージに戻る
無理をしないことが最優先です。

高校生・高専生・コミュニティレベル
高校生以上でも、最短でも約3週間かけて段階的に復帰します。
「焦らず・戻りながら」が安全復帰の原則です。
受傷後~24時間(ステージ1)
- 症状が悪化しない範囲で日常生活のみ
- 運動は禁止
その後(ステージ2)
- 軽い有酸素運動を開始 (例:ウォーキング、軽いバイクなど)
- ステージ2Aと2Bは同日に実施可能

~14日目まで(ステージ3)
- ランニングなど、やや強度を上げた運動
- 接触プレーは行わない

15日目(ステージ4)
- 運動中・運動後に症状が出ていないことを確認
- 問題なければ、接触なしのチーム練習へ進む
20日目まで(ステージ5)
- フルコンタクト練習へ段階的に進む
21日目(ステージ6)
- 問題がなければ試合復帰可能
⚠ 重要な注意点
ステージ4または5で症状が出た場合は、ステージ3まで戻ることが望ましい
無理をせず、症状ゼロを確認しながら進めましょう。

メディカル体制が整っている(チームドクター・トレーナー等がチーム登録されている)チーム(大学/社会人/クラブチームなど)
プレーヤーウェルフェア(プレーヤーの安全)を最優先としたメディカル体制を有するチームで、次の3項目を全て満たす場合は、最短2週間復帰が可能です。
ただし、少しでも異常があれば3週間プロセスに切り替えます。
- 脳振盪の既往がないこと
- チームでSCAT5/SCAT6のベースラインデータがあること(けがをする前の状態を記録している)
- 受傷36~48時間後にSCAT5/SCAT6を実施し、ベースラインより悪化がないこと
「脳振盪の既往」とは(以下のいずれかに当てはまる場合)
① 過去3か月以内に脳振盪を起こしている
② 過去1年間に3回以上起こしている
③ ラグビー歴の中で5回以上起こしている
④ 医師から「脳振盪を起こしやすくなっている」と指摘されている
⑤ 脳振盪後に心理的問題を伴ったことがある
⑥ 回復に21日以上かかったことがある
受傷後24時間(ステージ1)
- 症状が悪化しない範囲での日常生活
1~2日目(ステージ2)
- 軽い有酸素運動 (2Aと2Bは同日実施可能)
~7日目まで(ステージ3)
- 強度を上げた運動
- 接触プレーは禁止

8日目(ステージ4)
- 運動後も症状がないことを確認
- 接触なし練習へ
13日目まで(ステージ5)
- フルコンタクト練習へ進む
14日目(ステージ6)
- 試合復帰可能
⚠ 重要なルール
ステージ4または5で症状が出た場合は ステージ3に戻る
36~48時間後のSCATで悪化があれば → 21日間プロセスへ変更

※SCAT(スキャット)とは
SCAT(Sport Concussion Assessment Tool)は、スポーツ現場で脳振盪が疑われる13歳以上の選手に対し、医師や認定された医療従事者がその場で脳機能を迅速・正確に評価するための標準化されたツールです。
症状、記憶、バランス、精神状態を10〜15分でテストし、安全な現場離脱と復帰判断をサポートします。
12歳以下は「Child SCAT」を使用します。





